先月末に東京で行われた美容外科学会は、色々勉強することも多く、中でも私が注目したのは、最新のリフトアップの機械のソフウェーブや頭皮の薄毛や脱毛治療に効果の高いエクソソーム治療などが興味深かったです。
中でもやっぱり自分が一番興味を持つのは手術動画や手技の演題やシンポジウムでした。切らない眼瞼下垂として以前私の中でマイブームだった時期もある経結膜ミューラー筋タッキング手術ですが、眼瞼下垂のシンポジウムで再度動画を拝見して、切らない眼瞼下垂は結構ニーズがあるのかも、と思っていたのですが、ちょうど適応患者さんがいらっしゃったので、提案してみたところ、経過が良く、ブログの出演も快諾してくださいましたので今回ご報告したいと思います。(お写真のご協力ありがとうございました!)
切らない眼瞼下垂手術が適している症例
今回ご紹介する経結膜ミューラー筋タッキングの特徴ですが、
切らないので当然ダウンタイムが短い
手術時間が短い
埋没手術なので傷跡が目立ちにくい
軽度の眼瞼下垂であれば整復可能
二重を作成することができる
などの長所がある一方で、
切開しないので開瞼幅を調節しにくい
左右差があると細かい調節はできない
埋没法であるため、糸が緩んで再発することがありうる
皮膚が余っている症例は切除できないため適応外となる
という短所もあります。
以上のような特徴を踏まえて、この手術が適する方は
長くお休みが取りづらいお仕事、見た目が大事なお仕事の方などでダウンタイムを気にされる方
年齢が若く、皮膚弛緩があまりない方
数年持てば良く、いずれ切開しても良いと思っている方
軽度の眼瞼下垂があり、二重にしたいと思っている方
などが良い適応と考えられます。
切らない下垂手術症例のご紹介
今回の患者様は生まれつき右目の開きが悪い先天性眼瞼下垂の方です。
眠そうな見た目をなんとかしたいと思って当院の前にも数件受診しており、某美容外科では70万円という見積もりだったそうです。
術前の写真ですが、右目は瞼が黒目の半分くらいを隠してしまっています。左も開きが悪く、右>左の先天性眼瞼下垂です。当然保険適応となるべき症例です。
蒙古襞という目頭の突っ張りもありますので、まずは目頭切開で突っ張りを外しました。突っ張っていると瞼を開ける抵抗になると考え、私は積極的に蒙古襞を外す手術を行っています。こないだの美容外科学会でも、開瞼抵抗をなるべく取り除くのが眼瞼下垂手術と言っていて、私も同じ考えで手術をしているのでその考え方で良かったんだ、と再確認できたのが良かったです。
目頭切開の翌日の写真です。Z形成という手術で目頭切開を行いました。
確かに、目は開けやすくなったかも、と言ってくれました。この左右差をなんとかしたいそうで、二重になるのが楽しみと、手術を心待ちにしてくれました。
手術は緊張する感じもなく、先日のブログでご紹介した当院の男性スタッフに色々質問したりして、すっかり打ち解けていました。
翌日のご様子です。左右差はほぼなくなり、目には光が入り本来の輝きを取り戻したようですね!腫れはありますが、皮膚を切開していないので、出血もミニマムです。
「これほど良くなるとは思っていませんでした!やって本当に良かったです。緩んだ時もまた先生にお願いしたいですが、5年後くらいかな?まだ先生はやっていますか?」とのこと。一寸先に何があるかはわかりませんけど、あと15年位はやりたいと思ってます。
1週間後の腫れが引いた様子を確認したいと思っていたのですが、まだ来てくれてませんので、近いうちに経過を見せていただければと思います。出演ありがとうございました!
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眼瞼下垂手術の費用・リスクなど
元町マリン眼科では、眼瞼下垂の日帰り手術を行っています。眼瞼下垂手術は下垂による症状があり、診断基準を満たせば保険適応での手術が可能です。
瞼が下がって視界が狭い。
上の方や横の方が見にくい。
テレビや本を見ていると瞼がつぶれてくるので手で持ち上げている。
おでこや頭に力が入って頭痛や肩こりが取れない。
睫毛が被さって見にくい、あるいは睫毛が良く入る。
などが代表的な症状です。眼瞼下垂でお困りの方は、元町マリン眼科へご相談ください。
眼瞼下垂手術について
手術の費用:3割負担で両眼で50000円前後、1割、2割負担の方は自己負担上限金額です。また、眼瞼下垂を伴う全身疾患が疑われる場合は初診時に採血を行います。初診料と合わせて6~7千円程度かかります。
手術時間は両眼で1時間程度で、局所麻酔下に行います。
ダウンタイム:2~3日はかなりまぶたが腫れます。1週間後に抜糸を行います。内出血は2週間程度で徐々に軽快します。1ヶ月位は朝むくんだり、まぶたが赤いなどの症状が見られることがあります。傷の赤みは半年くらいで徐々に改善していきます。
リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)