今日は糖尿病と目の話をしたいと思います。
以前私が勤めていたクリニックに視力が落ちたと言っていらした患者さんは両眼の眼圧が40以上ありました。片目は手が動いているのがやっとわかるくらいの視野しか残っていませんでした。眼底検査をして、糖尿病の眼合併症の一番恐ろしい新生血管緑内障になっていると確信しました。
その方は自分が糖尿病であることも分かっていなかったのです。それからその方の糖尿病との闘いが始まりました。
その方は何年も頑張って治療を続け、何とか片方の目は視力が残りました。しかし、片方の視野は回復しませんでした。緑内障で失った視野はどんなに頑張っても取り戻すことはできないのです。
この方は極端な例ですが、たまたま眼科で眼底検査をして、または白内障の検査のために瞳孔を開いて検査をして、糖尿病網膜症が疑われ、はじめて糖尿病であることが発覚することはたまにあります。
このように自覚なく、糖尿病の網膜症が進行していることはよくあることなのです。
糖尿病で内科で眼底検査を勧められて、最初は一生懸命通うのですが、眼底は出血もない、大丈夫ですといわれて、それを何回か繰り返すうちに、忙しさに紛れて通院を忘れてしまうことはあるでしょう。
また、内科はもう落ち着いたので、今は薬も飲まなくてよくなったから、眼底も検査しなくてよいと思っている方、そんなことはないのです。血糖値が落ち着いていても眼底所見が悪化していくことはよく経験します。
では糖尿病の眼の症状にはどんなものがあるのでしょうか。
初期には自覚症状が分かりにくいのが糖尿病網膜症です。網膜に器質的な変化が起こるまではなかなか自分では気が付きません。まれに、糖尿病虹彩炎という症状が出ることがあります。血糖値が悪い時に出やすい症状です。
初期には小さい眼底出血、網膜の周辺部に小さな出血や血管のこぶができます。
進行してくると、出血がひどくなり、血の巡りが悪いところに白い斑点(軟性白斑)というものができます。
また、この段階で、網膜の真ん中(黄斑部)にむくみが起こる(黄斑浮腫)と、視力が低下してきます。
進行期で、網膜出血や軟性白斑が多発し、むくみがひどくなったり、新生血管という質の悪い血管のせいで増殖膜が出来たりします。むくみを放置すると、網膜が痛んで視力がさらに低下します。増殖膜には新生血管が含まれていて、破れて硝子体出血を起こすと目の中に血がたまって真っ暗になります。
更に悪い変化として、新生血管により網膜剥離になったり、先述の新生血管緑内障になったりするのです。こうなると、治療はとても大変で、何年も治療しても視力や視野が回復せず、最悪の場合は失明することもあります。
どんな病気も最高の治療は予防です。早く見つければダメージも少なく、治療費も少なくて済みます。こじらせると失った視力は取り戻せないし、時間もお金もたくさんかかるようになってしまいます。
大切な目を守るため、糖尿病の眼底チェックは必ず受けるようにしましょう。
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