霰粒腫(さんりゅうしゅ)について解説いたします。
霰粒腫ってどんな病気
霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、まぶたにできる慢性の炎症性腫瘤です。主にまぶたの内側にある脂腺(マイボーム腺)が詰まることで発生します。見た目は、まぶたに小さな粒状のしこりができたように見えます。これは痛みを伴わないことが多く、時間とともに大きくなることがあります。内容物に炎症反応が起こると急激に腫れて痛みを伴います。多くの方が受診されるのはこのタイミングです。
このような症状はありませんか?
以下のような症状がある場合は、速やかに眼科を受診することをお勧めします
しこりが2〜3週間以上改善しない
しこりが急速に大きくなる
強い痛みや発赤、腫れがある
視力に影響がある
繰り返し霰粒腫ができる
霰粒腫になりやすいのはどんな人
霰粒腫は老若男女誰にでも起こる可能性がありますが、特に以下の人々がなりやすいとされています
慢性的な目のアレルギーや炎症がある人
皮脂の分泌が多い人(思春期や若年成人)
マイボーム腺機能不全のある人
ホルモンバランスの変化がある人(妊娠中や更年期の女性)
長時間のコンピューター作業や読書など、目を酷使する人
睡眠不足や過度のストレスがある人
霰粒腫の原因とは
霰粒腫の主な原因は、マイボーム腺の閉塞です。具体的には以下のような要因が考えられます
マイボーム腺からの脂質(油分)の分泌異常
まつ毛の根元や皮膚の細菌感染
慢性的な目のアレルギーや炎症
ホルモンバランスの変化
目の衛生状態の悪さ
これらの要因により、マイボーム腺が詰まり、脂質が溜まることで炎症が起こり、霰粒腫が形成されます。
霰粒腫の症状とは
霰粒腫の主な症状には以下のようなものがあります
まぶたに無痛性の硬いしこりができる
しこりが徐々に大きくなる(米粒大から豆粒大程度)
まぶたが少し腫れる
目が重たく感じる
まれに、炎症が進行すると痛みや発赤を伴う
多くの場合、最初に患者さんが気がつく症状は、瞼に痛みを伴う腫れがあったり、麦粒腫ができることです。その後1~2週間してしこりが増大してきたタイミングで受診されます。炎症後の肉芽腫が形成されている時期であり、そのままでも徐々には吸収されますが、しこりが大きい場合は吸収に数ヶ月を要することもあります。しこりが年単位で残る場合、高齢者の治らないものもらいは霰粒腫以外の病気も疑われるため、切開して精密検査を行う事が必要です。
霰粒腫の検査とは
霰粒腫の診断は、主に目の専門医(眼科医)による視診と触診で行われます。具体的な検査方法には以下のようなものがあります
スリットランプ検査:特殊な顕微鏡を使って、まぶたの詳細な状態を観察します。
視力測定:霰粒腫が原因で視力に影響がないか確認します。
眼圧測定:霰粒腫治療に使用する薬剤が眼圧に影響していないか確認します。
生体染色検査:霰粒腫が涙液や角膜に影響していないか確認します。
必要に応じて、まぶたの裏側の観察も行います。
これらの検査により、霰粒腫と他の眼瞼腫瘍との鑑別診断を行います。
霰粒腫の治療とは
霰粒腫の治療方法は、症状の程度や持続期間によって異なります。
保存的治療:
温罨法:1日数回、10分程度まぶたを温めます。
まぶたのマッサージ:腺の詰まりを解消するために行います。
抗生物質入りの目薬や軟膏:炎症を抑えるために使用します。
外科的治療:
穿刺排膿:点眼麻酔下で小さな切開を入れ、内容物を排出します。
摘出手術:できるだけ内容物を取り除く必要がある場合に行います。
多くの場合、保存的治療で改善が見られますが、長期間改善が見られない場合や大きな霰粒腫の場合は外科的治療が必要となることがあります。
タイトルの疑問「しこりは自然に治るか」についてですが、霰粒腫は時間とともに自然に治癒することもありますが、完全に消失するまでに数週間から数か月かかる場合があります。また、破裂して瘢痕になる可能性も稀にありますので、症状が長引く場合は医療機関で適切な治療を受けましょう。
霰粒腫の治療期間
霰粒腫の治療期間は、症状の程度や治療方法によって異なります
保存的治療の場合:数週間から2~3か月程度
穿刺排膿の場合:処置後1〜2週間程度で症状が改善
摘出手術の場合:手術後2〜4週間程度で改善
ただし、個人差が大きいため、医師の指示に従って経過観察を行うことが重要です。
霰粒腫の予防
霰粒腫の予防には、以下のような方法が効果的です
まぶたの清潔を保つ:毎日まぶたを清潔に保ちます。
適切なアイメイクの除去:就寝前には必ずメイクを落とします。
定期的なまぶたのマッサージ:マイボーム腺の詰まりを予防します。
目の疲れを軽減:適度な休憩を取り、目の酷使を避けます。
バランスの取れた食事:ビタミンAやオメガ3脂肪酸を含む食品を摂取します。
定期的な眼科検診:早期発見・早期治療につながります。
これらの予防法を日常生活に取り入れることで、霰粒腫の発症リスクを低減できます。
早期の適切な治療により、霰粒腫による不快感や合併症のリスクを軽減することができます。