今回は視野検査のお話です。
「次回は視野検査を予約して下さい」、とお伝えすると、視野検査が苦手、なるべくやりたくない、そんなにしょっちゅうやらないといけませんか?とよく言われます。確かに、暗い部屋で単調な音の中、見えるか見えないかくらいの光を探すという行為はなんの罰ゲームなんだ、と思うのもごもっともです。しかも長い。。。
しかし視野検査は病気の発見やフォローにとても大事な検査なのです。この記事を読んで、皆さんが視野検査の大切さを理解して、前向きに取り組んでいただければ幸いです。
視野検査の目的
1. 病気の早期発見、診断のため
緑内障、黄斑変性、網膜剥離、視神経疾患、脳腫瘍など、視覚に影響を与える可能性のある疾患の早期発見に役立ちます。
2. 病気の進行管理のため
既に診断されている疾患が進行しているかどうか、治療が効果的であるかどうかを評価するために使用されます。特に緑内障の進行を判定するには欠かせない検査です。
3. 治療効果の評価のため
視野の改善や悪化を追跡し、治療方針の決定に役立てるために使用されます。特に視神経炎等、急激に状態が変わるような疾患の場合は何日かおきに視野を測ったりすることもあります。
視野検査にもいろいろある
視野検査といえばまず思い浮かぶのが自動視野計による視野検査ですが、実は眼科で行う視野検査だけでも
数種類もあります。
1. 静的視野検査(Humphreyハンフリー視野検査など)
目的: 視野の中心部から周辺部までの視力感度を評価するために使用されます。主に、緑内障、網膜疾患、視神経疾患の診断や進行状況をモニタリングするために行われます。機械の進化が著しく、最近は覗き込むタイプやゴーグルを被って行うものも登場し、ボタンを押さなくても良いものもあります。
2. 動的視野検査(Goldmannゴールドマン視野検査など)
目的: 視野の広さや欠損の有無を検査するために使用されます。視神経疾患や脳の病変(例: 脳腫瘍、脳梗塞)の診断に役立ちます。
方法: 動的視野検査では、検査員が視野の端から中心に向かって様々な明るさの光を動かし、患者は光が見えたときに知らせます。この方法により、視野全体の感度を調べることができます。
3. 網膜感度検査(Microperimetry:マイクロペリメトリー)
目的: 視力の低下が中心視野にあるかどうかを評価するために使用されます。黄斑変性や網膜疾患に関連する中心視野の機能を検査します。
方法: この検査では、視野の中心部分に焦点を当てて、光点が見えるかどうかを評価します。視力の低下がどの程度進んでいるかを詳細に確認することができます。
4. 対面視野検査(Confrontation Visual Field Test)
目的: 簡易的に視野全体を評価するための検査で、特に明確な視野欠損があるかどうかを素早く確認するために使用されます。救急の現場などで道具がなくても確認できる検査です。
方法: 医師が患者の前に立ち、視野の異なる位置で手や指を動かします。患者は、視線を一定の位置に固定したまま、動いている手や指を確認できたかどうかを答えます。
5. アムスラーチャート検査
目的: 黄斑部の疾患(黄斑前膜や黄斑円孔、中心性網脈絡膜症など)による中心性視野異常の検出に用いられます。
方法: 患者は網目状のグリッドを注視し、歪んで見える部分や欠けて見える部分がないかを報告します。
皆さんが受けた視野検査は上記の中にありましたでしょうか?
元町マリン眼科では視野検査を行っております。視野検査は予約制とさせていただいており、初診日にはできません。通常は眼底検査など一通りの検査を行ってから必要な方のみ次回の予約となりますが、事情で初診時に視野検査を行いたい方はお電話にてそのようにお伝えいただけますと幸いです。
次回は静的視野検査をもう少し詳しく解説し、視野検査を少しでもリラックスして受けるコツをお伝えします。