今回は先日切開手術を受けてくれた9歳の女の子の症例のご紹介と、当院でのお子様の霰粒腫手術の対応を解説します。
長引くお子様の霰粒腫の摘出例
今回の患者様は12月下旬から瞼が腫れてきて、1ヶ月以上治らずお近くの眼科の先生に切開を勧められ当院を紹介受診された方です。
9歳の女の子でしたので、ご自分の意思を確認したところ、切って治したいという気持ちが確かであったため、切開手術の予約となりました。当日はペンレステープを瞼に貼ってきて頂きました。
写真で見ると、薄くなった皮膚から中身が透見できます。中に入っているのは肉芽腫と言って、膿と炎症を起こしている組織が混ざったものです。この肉芽腫というものはネバネバしていて、周りの組織にくっついており、ころっと出るようなものではありません。そのため切開してなるべく中を擦り取るように周りから剥がさないといけません。また、翌日にはなくなってぺったんこになっているというようなものではありません。
あくまでも手術は中身を減らして吸収を早める手術です。
手術室にはお一人で落ち着いて入ることができました。ベッドが倒れて麻酔テープを剥がし、メスで薄くなっている皮膚に切開を入れます。中身が出てきたら指で押し出してなるべくぶよぶよした膿が残らないように圧迫します。
出血をガーゼで圧迫止血して軟膏を塗りガーゼを貼ります。ここまでの時間は1分位で終了です。
お子様の霰粒腫摘出の3週間後の経過
3週間後に術後の診察にいらっしゃったときのご様子です。
縫ったりはしていませんので抜糸は必要ありません。術後は抗生剤の軟膏を1日4回位塗っていただいています。際には赤みがありますが、時間とともに軽快します。
しこりはほとんどわからないくらいになっていました。
当院で行っている幼児・小児の霰粒腫手術について
当院では3歳から(2024年5月現在1歳以上全年齢となりました)全年齢の霰粒腫手術の実績があります。手術適応の霰粒腫があり、ご本人の同意(未成年は保護者の同意も)があれば手術は受けていただくことができます。
お子様の場合は、手術を頑張ったらご褒美を約束する、などで物分りの良いお子様であれば大抵頑張ってくれます。
手術時間が長いのは、お子様にとって大変ストレスとなりますので、なるべく短時間で済むように工夫しています。麻酔はテープ麻酔を用いることで皮膚を切る痛みを多少は和らげることができます。それでも痛みはありますので手術時間は1分以内を目安にできるところまで行います。
上記の擦り取って中身をなるべく出すことを目標としていますが、お子様の苦痛との兼ね合いです。
術後は帰宅後にガーゼを外し、それからは軟膏を1日4回塗布して頂きます。
1週間後に治っているか、確認のために受診いただきます。(その際はお近くの先生でも大丈夫です)
お子様の霰粒腫手術の費用やリスクについて
元町マリン眼科では、霰粒腫の日帰り手術を行っています。以下はお子様に限らず、霰粒腫手術共通です。
霰粒腫摘出は局所麻酔下に行い、時間は5~10分程度です。
霰粒腫摘出手術の費用:3割負担で片目につき3,000円程度、その他麻酔、薬剤代、診察料がかかります。縫合が必要な大きな切開となった場合は6000円程度かかります。縫合した場合は1週間後に抜糸が必要です。
ダウンタイム:麻酔や出血で2~3日はまぶたが腫れます。内出血は2週間程度で徐々に軽快します。皮膚の赤みは1ヶ月くらいで徐々に改善していきます。
リスク:出血、痛み、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
霰粒腫でお困りの方は、元町マリン眼科へご相談ください。
最近ブログの閲覧数が減ってがっかりしていますが、いいね!やフォローで励まされます。ブログを応援して下さる方は是非いいね!をよろしくお願い申し上げます。
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)