流行り目とは、とても感染力の強いアデノウイルスによるウイルス性の結膜炎です。(はやり目については以前のブログも参照ください)9月に入ってから結構ひどいアデノウイルス結膜炎の方が何人も受診されています。この近辺で流行っているのかもしれません。
アデノウイルスに対する抗ウイルス薬は今のところないので、これまでは、弱った眼に他の細菌が付かないように抗菌薬を点眼、そして強い炎症を抑えるためのステロイド点眼を処方するのみでした。しかし、今回ウイルスの殺菌にも使える点眼液が発売されました。
9月に新しく発売された「サンヨード」は、眼の手術前の消毒にも使用されるヨードを用いた殺菌剤で、ウイルスも殺菌できる点眼液だそうです。ヨードはうがい薬のイソジンでお馴染みですよね。
使用前にご自身で2剤を混合して、混ぜてから3日で使い切るお薬です。希望小売価格は1650円(税込み)だそうです。ヨードはウイルスの他、細菌、真菌などにも有効な殺菌剤であり、耐性菌を生じないのは使い勝手が良いですね。手術前の殺菌剤としてもいいかもしれません。そのうち白内障の術前点眼はこれを薬局で買ってさして来てください、という日が来るかもしれません。
このサンヨードは薬剤師が常駐している調剤薬局で販売しているOTC医薬品に分類されます。OTC医薬品とは、Over the counterの略で、薬局のカウンターで薬剤師さんから購入できる薬と言う事です。税金に詳しい方はセルフメディケーション税制という言葉をご存じかもしれません。この薬はセルフメディケーションの対象薬になります。
「セルフメディケーション」とは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関(WHO)は定義しています。具体的には、日ごろから、自分の健康状態を知って生活習慣を見直したり、市販薬(OTC医薬品)を活用したりするなど、自分自身で健康管理や病気の予防・対処を行うことをいいます。
ここで注意が必要なのは、自己責任で治療を行うと言う事です。
薬には効能もありますが、副作用もあります。OTC医薬品は安全性が高い事から市販薬として販売されていますが、使用法を誤ると副作用がおこったりすることもありますので、使用法をよく読んで、正しく用いることが大切です。
また、OTC医薬品で改善しない場合は、医療機関で適切な薬を処方してもらう必要がありますので、早めに近くの病院で診察を受けましょう。