院長の蓮見です。今日はクリニックはお休みなんですが、午後は横浜市立大学附属病院でぶどう膜クリニックの診療があります。
ぶどう膜炎は、一般の方には馴染みのない病名かもしれません。
眼球の白目の部分(結膜)の下には血管の豊富な脈絡膜、という膜があります。実際にぶどうのような色をしているからぶどう膜と呼ばれています。
ぶどう膜に炎症を起こすのがぶどう膜炎です。
ぶどう膜炎を疑う症状は充血、ぼやけて見える、飛蚊症が増える、まぶしい、痛い…などです。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。
原因は感染性と非感染性に大きく分けられます。
感染性といっても、はやり目のようにとても移りやすいもの、というわけではなく、ウイルスや結核などの病原体によって炎症が起こって
いるというもので、原因にはヘルペスウイルス、結核菌や梅毒、真菌などがあります。治療は当然、原因となっている病原体の駆除になります。
非感染性は免疫の異常によるものや、腫瘍によるもの、などがあります。
非感染性のものは難病の部類に入るものが多く、代表的な病気はサルコイドーシス、ベーチェット病、原田病、若年性関節リウマチ、などがあります。免疫を抑えることが治療になります。
原因がわかれば、治療戦略や病気の予後の予測に大変有用ですが、大学病院で様々な検査をしても、ぶどう膜炎の原因がわかるのは半分くらいの症例です。
横浜市立大学附属病院眼科は、教授の水木信久先生がぶどう膜がご専門で、ベーチェット病の原因遺伝子の研究をライフワークとされております。
そのため、全国からぶどう膜炎で困っている患者様が、木曜日のぶどう膜クリニックに集まってきています。
院長の蓮見は大学院時代より、ぶどう膜専門外来で水木先生のもと、ぶどう膜炎の診療にあたってきました。眼科医になったばかりの頃に担当していた患者様には今もぶどう膜クリニックに通っている方もいて、アメリカから帰って久しぶりにお会いした時に「蓮見先生ってあのアメリカに行った先生?お久しぶりです」とほとんど見えないのに声をかけてくださいました。
それは余談なんですが、ぶどう膜炎の中には大変シビアなものや治りにくい病気があり、大学のぶどう膜クリニックはいつも大変混雑しています。時には夜の7~8時くらいまでかかることもあり、他の科は真っ暗な中、ぶどう膜外来だけのために看護師さんやORTさんも残ってくれています。
これはぶどう膜炎とは関係ありませんが、事務長夫妻の農園で穫れたシャインマスカットです。今年はたくさんとれたそうです。
では今日もぶどう膜クリニックに行ってきます。