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執筆者の写真HASUMI

エタンブトールと眼科定期検診


今日は体の他の病気に対する治療で眼に副作用が現れることがある薬剤の解説です。



さて、表題の薬エタンブトール(エサンブトールともいいます)ですが、肺結核や、非定型抗酸菌症という肺の病気に対して投与される薬です。結核菌やマイコバクテリウムという菌に対する抗菌薬として使われます。

このうち問題となるのは、かなり長期に服用することになる肺のMAC(マック; Mycobacterium avium complexの略)菌による呼吸器感染症です。肺MAC症は治癒が難しく、患者さんは年単位でエタンブトールを内服することになるのですが、視力に影響を起こすことがあり、早期に発見すれば可逆性であるのですが、発見が遅れると視力障害が残る可能性が高くなるので、呼吸器内科と眼科の連携が必要なお薬です。


エタンブトールの副作用はエタンブトール視神経症が有名です。視神経症の初期症状は、


  • 視力低下

  • 中心が黒く見える

  • 霞んで見える

  • 色調がおかしい


などです。検査所見的には色覚異常、周辺視野異常、限界フリッカー値低下、コントラスト感度の異常がみられることがあります。






内服開始直後に発症することはなく、通常は数か月後~数年後に発症し、緩徐に進行します。投与中止後、数か月から半年で回復傾向がみられるとの事ですが、時に不可逆性の視力障害が残ることもあります。そのため、投与前と投与中は3ヶ月に1回の眼科検査が必要です。


眼科での検査内容は


  • 視力検査

  • 眼圧検査

  • 細隙灯顕微鏡検査

  • 眼底検査

  • 視野検査

  • 中心フリッカー検査(ちかちかする赤い光を見て、そのヘルツ数を計測する検査)


などです。必要に応じて色覚検査や光干渉断層撮影(OCT)なども行います。


視神経炎や糖尿病、アルコール依存症、乳幼児は原則エタンブトールの投与は禁忌だそうです。

眼科の定期検診を受けることはもちろんですが、投与されている間は、毎日自分でも見え方のチェックを行うようにしましょう。

具体的な方法は、朝など毎日同じ時間帯に、新聞やテレビ、カレンダーなど片目ずつ隠して見え方をチェックし、変化があれば受診して視力を確かめるようにします。



今日は全身疾患に対して使われる薬の副作用のお話をしました。本日もブログをご覧いただきありがとうございました!いいね!やフォローして頂けると嬉しいです。




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