院長の蓮見です。今週は土曜日午前中、代診の先生にお願いして学会に参加しました。
フォーサムという学会ですが、4つの眼科の学会が同時開催されるのでフォーサムという名前なのです。
私はぶどう膜炎に興味があるので、眼炎症学会の演題には特に注目しています。ところが、今回私が出した演題は眼感染症学会に採択されてしまいました⁈(というか採択して頂きました)
私が今回出させて頂いた演題はライム病という日本では珍しい病気の症例報告でした。
ライム病はダニにかまれて、ダニに寄生しているボレリア菌に感染し、全身の臓器に様々な症状を起こす病気のことです。侵される臓器は、皮膚、神経、眼、関節など多岐にわたります。
病期は3期に分けられ、感染初期の限局期には感冒症状や咬まれた部位の紅斑、結膜炎など、数週間から数か月後の播種期には全身にいろいろな症状、慢性期には慢性関節炎や脳脊髄炎などを起こします。
ライムという名前は、北米のコネチカット州のライムという地で流行して認知されたからです。日本では少ないのですが、北海道や山間部で時々見られ、流行地でなくても報告はあります。欧米では年間数万人が感染し、社会的にも問題となっています。有名人もライム病だったことが以前ニュースでも取り上げられていましたね。
ライム病の治療はボレリア菌を退治することです。なので抗生剤を投与します。ダニに咬まれたことが明らかであれば、症状が出ればダニのせいだと思うかもしれません。
しかしダニに咬まれたことに気が付かなかった、しばらく経って忘れてしまった、などと言う事もあるかもしれません。その場合は診断が難しいです。
ライム病に対するワクチンはありません。また、人から人への感染は報告されていません。そこでダニに咬まれないようにすることが大事です。
これから夏休みシーズンで山にハイキングや山登りに行く機会もあるかもしれません。長袖長ズボンで体を覆っておく、虫よけスプレーをする、などはダニに咬まれる予防として有効です。
また、北米やヨーロッパは流行地です。流行地では特に気を付けましょう。
万が一ダニに咬まれたら、時間が経つとダニは皮膚に深く食い込んで引っ張ると胴体だけ取れて頭がめり込むことがあるそうです。皮膚科でピンセットなどで取ってもらう方がいいかもしれません。
以上、珍しい病気、ライム病についてでした!