本日のブログは、最近希望者が増えている、切らない眼瞼下垂手術である経結膜ミューラー筋タッキング手術について、経過と適応などを解説いたします!
最近行った方で、とても経過が良かった方にブログ出演をお願いしたところ、OKいただけましたのでお写真を掲載させていただいております(※全ての症例写真は、必ず御本人の許可を得て掲載しております。)ご協力ありがとうございました!
経結膜ミューラー筋タッキング手術の経過
瞼が重く、開けづらいとのことで受診された方です。一重か、極浅い奥二重で眉から目の距離が長くなっており、垂れ下がった皮膚が被さり、上の視界の邪魔をしています。
伸びた皮膚を切らないと根本的な解決は得られないと思い、眉下切開を提案致しましたが、傷痕が残るのが心配とのことでミューラー筋タッキング手術をご希望されました。
まあまあ分厚い瞼であり、外れたり薄れたりする可能性はありますが、外れたらいずれ切開を受け入れてくれるならと、まずは本術式で行う事になりました。
翌日の写真です。この術式は裏から経結膜的にミューラー筋をタッキングするのですが、ミューラー筋は瞼を持ち上げる作用のある筋肉で、血管が豊富にあるので、結構内出血が起こります。左はそこまで内出血しませんでしたが、向かって左側の右眼のまぶたはかなり内出血を起こしています。このように、切らないとはいえ、翌日は麻酔の腫れと、出血の腫れとむくみで結構パンパンになります。
1週間後の写真では、まだ腫れは残っていますね。内出血は吸収されつつあり、だんだん下がって下のまぶたに黄色いあざができています。上眼瞼の手術でも重力で出血は下眼瞼の方に回っていきます。1週間後からは石鹸での洗顔、メイクなども可能です。
ご本人はだいぶ腫れが落ち着いてきたことを実感されており、空が広く見えるようになったとのことでした!
1ヶ月後にいらっしゃった時の状態です。本人はすごくいいです、とのこと。
埋没の素晴らしさは、やはり、傷が残りづらいことで、1ヶ月後でもだいぶ本来の形に近くなっています。
実はまだ少し腫れがあるのですが、その腫れも徐々に軽快していきます。腫れや赤みが完全に引くのは3ヶ月から半年位かかります。
目の開きは良くなり、瞳に光が入るようになりました。おでこの力が抜けて、おでこのシワも改善し、若々しい表情になりましたね。この方は、あまり心配なことはもうないとのことで、一旦卒業になりました。お写真のご協力ありがとうございました!
経結膜ミューラー筋タッキングのメリット・デメリット
ミューラー筋は、瞼を持ち上げる作用のある筋肉の眼球側にある筋肉です。この術式ではミューラー筋と瞼板を埋没法で縫い縮める事によって瞼の挙上効果を増強し、目の開きを良くする効果があります。
利点は、表側にも糸を埋め込むことにより、二重を作成することもできることと、埋没法であるためにほとんど傷が目立たず、ダウンタイムが短いことです。
欠点は、埋没法なので糸が緩んだり外れる可能性があることと、切開しないので皮膚がすごくたるんでいる人や重度の眼瞼下垂には効果が薄く、適応できないことです。
また、左右差がある場合には、定量性がある手術ではないので揃えるのは難しい術式です。
更にこれは埋没法一般に言えることですが、瞼がぼってりしている分厚い方には不向きな手術です。
まとめると、経結膜ミューラー筋タッキングの良い適応の方は
薄い瞼の方
左右差がない軽度の眼瞼下垂の方
二重になりたい一重の方
手術後のダウンタイムが許容しづらい方
外れたら切開手術を許容できる方
と私は考えております。
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経結膜ミューラー筋タッキングの費用・リスクなど
経結膜ミューラー筋タッキングをご希望の方は、まず眼科でご受診下さい。手術適応があるかどうかを診察いたします。元町マリン眼科では、眼瞼下垂の日帰り手術を行っています。眼瞼下垂手術は下垂による症状があり、診断基準を満たせば保険適応での手術が可能です。
瞼が下がって視界が狭い。
上の方や横の方が見にくい。
テレビや本を見ていると瞼がつぶれてくるので手で持ち上げている。
おでこや頭に力が入って頭痛や肩こりが取れない。
睫毛が被さって見にくい、あるいは睫毛が良く入る。
などが代表的な症状です。眼瞼下垂でお困りの方は、元町マリン眼科へご相談ください。
眼瞼下垂手術について手術の費用:3割負担で両眼で50000円前後、1割、2割負担の方は自己負担上限金額です。また、眼瞼下垂を伴う全身疾患が疑われる場合は初診時に採血を行います。初診料と合わせて6~7千円程度かかります。
手術時間は両眼で1時間程度で、局所麻酔下に行います。
ダウンタイム:2~3日はかなりまぶたが腫れます。1週間後に腫れや傷口のチェックを行います。内出血は2週間程度で徐々に軽快します。1ヶ月位は朝むくんだり、まぶたが赤いなどの症状が見られることがあります。傷の赤みは半年くらいで徐々に改善していきます。
リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)