最初にお断りをしておくと、今日の症例は続編があります。今回は中途報告になります、というのはブログを書こうと思っていたら、患者さんが来院されて、再手術が決まったからです。*ご本人の了承を得て写真を掲載しております。ご協力ありがとうございました!
瞼が分厚い方の眼瞼下垂手術の術式選択について
私はあまり不自然な仕上がりになるのを避けたいと思っているので、瞼の分厚い人を二重のところで手術するのは避けるようにしております。それでもご本人のご希望が強ければ二重手術もやりますが、いかにも作ったみたいな二重になりがちなのと、ダウンタイムは長くなります。過去のブログも参照してください。
瞼が厚ぼったい人は年齢を重ねてくると、瞼の皮膚が伸びてきて、結局その重みで重たさを感じてしまうので、眉の下で大量に皮膚をとって軽くしてあげる方が結果がよく、機能的な改善になると思うからです。
そこで最近は瞼が厚ぼったい人にはまず眉下で皮膚を大きくとって、その後挙筋短縮をやるという2段階手術を勧めています。
一重に見える奥二重の女性の症例
それはさておき、今回の方は、2年ほど前から瞼の重みを感じるということで来院されました。
一重に見える奥ぶたえの女性の方(30代)ですが、伸びた瞼の皮膚がかぶさってみにくいそうです。お父様が眼瞼下垂の手術を複数回受けたことから、ご自分も眼瞼下垂を疑っていらしたとのことでした。
奥二重の方は私は眉下切開を第一選択としています。この方にも眉下切開をお勧めしましたが、傷跡が目立つのが心配と、重瞼形成を希望されました。このくらいの厚さであれば二重手術でも行けるかもしれないと思い、今より少し高めに二重を作り、少しだけ皮膚を切除する二重形成を行いました。
上の点線からもともとの二重の線までの皮膚を切除しました。術翌日の様子です。
翌日はむくみと出血、腫れのせいで実際の二重幅より太めの二重幅になります。ダウンタイム中は、果たして元に戻るのか、と心配なると思いますが、ここは耐えるしかないところです。
1週間後の抜糸の時にご様子です。閉じてしまった写真しかありませんが、思ったよりは腫れは少なく、いい感じとのこと。目頭のところがぼこぼこしているのですが、肉芽組織という傷が治る時にできる組織の塊で、傷が治るにつれて吸収されていきます。
1か月後のご様子です。眼と眉の間隔が狭くなりましたね。腫れが引いて作った二重はまた奥二重になってしまいました。この時は、ご本人は腫れも少なく、頭痛も良くなって見やすくなったとおっしゃっていました。
ブログOKももらっていたので、ブログを書く準備をして写真を眺めていたのですが、思ったよりも二重幅が狭くなったので、もう少し皮膚をとっても良かったか、或いは高い二重幅にしても良かったかもなあ、と考えていたところ、術後3か月くらいしたところで患者さんがいらっしゃったというわけです。術後に感じた爽快感が今は10%くらいしか効果を感じられなくなったとのことでした。
適切な二重の幅は若い人では5~6ミリ、年配の方でも1センチはやりすぎで、せいぜい7~8ミリと思います。不自然に高い二重の線は、術後の腫れでさらに分厚くなり、いかにも手術をした不自然な見た目になります。この方の場合は、もともとの二重の線を生かしたかったので、5ミリのところで切開したのですが、不自然になるのを恐れすぎたのかなあとも思います。ご本人も今度は眉下をやる事にご納得いただいたので、次回は眉下切開の経過となる事でしょう。お写真のご協力ありがとうございました!
保険診療の眼瞼下垂手術は病気の治療です
ところで、当院では保険診療として眼瞼下垂手術を行っております。手術は医療行為であり、リスクを伴うものです。豊富な経験を持った術者が行っておりますが、不測の事態や副反応が起こることもあります。そのため術後の検診は指定された通りに必ず受診するようにしてください。最近アンケートを集計していて気が付いたことですが、術後1か月の検診には皆さん大体お越し頂いているのですが、1か月後の検診に来てない患者様もいることが発覚しました。手術後の経過を確認し、最適な治療結果を得るためには、1ヶ月後の術後検診が非常に重要です。必要なアドバイスやケアを提供するために、術後検診には必ずお越しください。
眼瞼下垂手術について
元町マリン眼科では、眼瞼下垂の日帰り手術を行っています。 眼瞼下垂手術は下垂による症状があり、診断基準を満たせば保険適応での手術が可能です。
瞼が下がって視界が狭い。
上の方や横の方が見にくい。
テレビや本を見ていると瞼がつぶれてくるので手で持ち上げている。
おでこや頭に力が入って頭痛や肩こりが取れない。
睫毛が被さって見にくい、あるいは睫毛が良く入る。
などが代表的な症状です。 眼瞼下垂でお困りの方は、元町マリン眼科へご相談ください。 眼瞼下垂手術について 手術の費用:3割負担で両眼で50000円前後、1割、2割負担の方は自己負担上限金額です。 また、眼瞼下垂を伴う全身疾患が疑われる場合は初診時に採血を行います。初診料と合わせて6~7千円程度かかります。 手術時間は両眼で1時間程度で、局所麻酔下に行います。 ダウンタイム:2~3日はかなりまぶたが腫れます。1週間後に抜糸を行います。内出血は2週間程度で徐々に軽快します。1ヶ月位は朝むくんだり、まぶたが赤いなどの症状が見られることがあります。傷の赤みは半年くらいで徐々に改善していきます。 リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)