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先天性無虹彩症について

更新日:2021年11月21日

今日はまれな病気「先天性無虹彩症」について解説します!


虹彩とは黒目の中の茶色の部分です。これが生まれつき欠損しているのが先天性無虹彩症です。

頻度は10万人に1人くらいでまれな疾患です。原因はPAX6という遺伝子の異常で、遺伝形式は常染色体優性遺伝です。お子さんには2分の1の確率で遺伝します。孤発性も存在し、腎臓の腫瘍などを合併することもあります。


Erlend C.S. et al. Congenital aniridia – A comprehensive review of clinical features and therapeutic approaches. Survey of Ophthalmology Vol. 66, Issue 6, November–December 2021, Pages 1031-1050 より出典


虹彩はカメラで言うと、絞りの部分になるので、虹彩がないと非常にまぶしいです。遮光メガネ、または虹彩付きコンタクトレンズで眩しさを軽減します。






目が揺れる眼振という症状がおこり、黄斑部という網膜の中心の凹みが低形成で視力は0.1~0.2くらいの低視力になります。


眼の他の合併症を起こしやすく、白内障、緑内障、斜視、角膜(黒目)が白く濁る角膜混濁をきたすことがあります。


白内障が起こった場合は、手術で人工レンズに取り替える、いわゆる白内障手術をします。


眼圧上昇は眼の中の水(房水)の排水溝である、隅角というところの低形成のために起こるもので、先天無虹彩症の方の46~70%に起こる合併症です。眼圧が高い状態が長く続くと視神経が傷んで視野がかけてしまう緑内障になってしまいます。点眼や手術で治療しますが、欠けてしまった視野はもとに戻らないため、眼圧の定期的なチェックは必要です。


角膜混濁は、黒目と白目の境目(輪部というところ)が弱いために、結膜が角膜に侵入してしまうことで起こります。角膜が白く濁ると曇って見えなくなるので、角膜移植が必要になることがあります。


黄斑低形成は治療が難しく、生涯に渡って低視力は続きます。

先天性無虹彩症は指定難病となっています。



無虹彩症の合併症はこの様に多岐にわたり、多くの治療を必要としますので、定期的な通院が必要です。


以上、今日はまれな病気の解説でした。



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