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子供にみられる斜視について

目は2つあるので、それぞれがものを見ています。

通常は両眼の視力が同じくらいで、両眼の動きが協調していれば、ものは一つに見えて立体的に見ることができます。



眼球の動きは目の周りについている、6つの筋肉の協調運動によって動かされています。その筋肉を制御しているのは動眼神経、滑車神経と外転神経です。

その筋肉のバランスが悪いと内斜視や外斜視が起こります。

また片方、あるいは両眼の動きが悪かったりすると、向く方向によってはものが2つに見えることがあります。それを麻痺性斜視といいます。





小さなお子様では、2つに見えるという訴えが難しいので、なかなか気が付きにくいことがありますが、顔を常に傾けていたりして、家族が気がつくことがあります。

また、他の症状を合併することがあり、それから見つかることもあります。


今日はお子様に見られる麻痺性斜視のうち、Duane(デュアン)症候群について解説します。


Duane症候群は眼球の6つの筋肉を動かしている神経のうち、外転神経という、眼を耳側に向ける神経の発達異常です。先天的な異常で、難聴や四肢の奇形などを合併することもあります。

患眼は外側に目を向けられないため、患側を見ると複視があります。

また、健側を見ると患眼がウインクする瞼裂狭小がみられます。

眼球運動障害のタイプでI、II、III型に分類されています。

I型は外転制限、II型は内転制限、III型は外転障害と内転障害の両方がみられます。



この病気の頻度は人口の約0.01%、斜視の5~10%だそうです。男女比では女性に多く、片側性では1対4で左側に多いと言われています。


治療についてですが、正面視で複視があれば、手術による治療適応があります。しかし、両眼の動きが同じでないため、全ての方向で両眼視を得ることは不可能です。なので、複視が残る方向はその方向を顔ごと向けてみるようにします。


Duane症候群には、斜視や動眼神経不全麻痺、滑車神経麻痺、眼振などを合併することもあります。海外の報告では、632人の本症の患者の眼の合併症を調べたところ、先天眼瞼下垂、虹彩コロボーマ、眼振、先天白内障の順に多かったそうです。




今日は珍しい病気「Duane症候群」についての解説でした。





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