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執筆者の写真HASUMI

小児の無麻酔霰粒腫摘出の経過


最近また小さい子の霰粒腫の切開希望の方が増えています。夏の間は少なくて、もう切り尽くしたかと思っておりましたが、そんなわけではなかったんですね。



今回ブログに出演してくれたのは、8月に切開を行って、先日卒業となった5歳の女の子です。ブログの出演をお願いしたところ、お母様が「私も困ってインターネットで色々調べてここを見つけたので」とご快諾いただけましたのでお写真を使用させていただいております。ご協力ありがとうございました!



小児の霰粒腫摘出後の詳しい経過


初診時の写真です。2ヶ月前から他院で点眼や軟膏、内服による治療を行うも、治らない右目の上下の霰粒腫ということで受診されました。ペンレステープを貼って院内でお待ち頂き、当日無麻酔で切開、指での圧出を行いました。この方法は野田実香まぶたのクリニックの野田実香先生にご教授いただいた方法です。



下の写真は切開後1週間後の様子です。上は大分小さくなり、二重の形が戻りました。

頑張ったご褒美にスイッチを買ってもらったそうです!良かったですね。





約1ヶ月後の様子です。まだ傷は残っているものの、霰粒腫はだいぶ吸収されて小さくなっています。抗生剤の軟膏を塗り続けてもらって根気強く治します。






3ヶ月後の様子です。霰粒腫自体のしこりは触れず傷もだいぶきれいになってきました。

ここまでくればもう安心ですね。傷はいずれほとんど目立たなくなるでしょう。






霰粒腫はころっと出るようなものではありません。無麻酔で切開する場合は、1分以内で出せるところまで出す手術です。切開すればすぐに全く無くなるわけではなく、中身を減らして吸収を早める手術ですので、残った肉芽は最終的には自分の力で吸収するのです。最近は可能であれば綿棒でこすり取るようにしているのですが、そうすることによってより肉芽を摘出できているような気がします。その結果はまたいつか報告します。



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当院での子どもの霰粒腫摘出術について


当院では、小さいお子さんの霰粒腫も全身麻酔無しで切開しています。皮膚麻酔はテープを1時間前に貼ってきて来てもらいますが、テープ麻酔をしても表面だけの麻酔なので、切開は痛みを伴います。注射麻酔はできそうな年齢のお子さんには行いますが、麻酔が効くまでには時間がかかるため、手術時間が長引くのもお子さんにとってはストレスです。さらに、炎症を起こしている組織には局所麻酔はあまり効きません。最終的には怖くてみんな泣きます。


苦痛をなるべく短時間で済むように色々工夫をして行っています。切るほどの霰粒腫は炎症を伴っているので切れば出血は必ず起こります。縫合するお時間はありませんので、ガーゼでしばらく圧迫してもらいます。帰宅後にガーゼは外してもらい、止血していればあとは軟膏を塗って過ごしていただきます。

また、手術後は出血や腫れは必発です。霰粒腫はころっと出るようなものではなく、切れば明日治るものではありません。赤くなって薄くなった皮膚はすぐには元の色には戻りませんが、いつかは必ずきれいになります。



霰粒腫手術の費用やリスクについて


手術の費用:3割負担で1眼瞼につき2400円程度、初診料と合わせて3千円程度かかります。

手術時間は5~10分程度で、局所麻酔下に行います。

ダウンタイム:1~2日はまぶたが腫れます。必要な方のみ1週間後に抜糸を行います。

内出血は1~2週間程度で徐々に軽快します。


リスク:出血、痛み、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。


この記事の執筆者


元町マリン眼科

院長 蓮見由紀子


所属学会・認定医

医学博士

日本眼科学会認定専門医

横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)






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