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執筆者の写真HASUMI

尿の薬で緑内障になる?


先日、他院で白内障手術を受けた方が戻ってきました。

ピカピカのレンズを入れてもらったはずなのに視力がいまいち…、眼底は異常ないのになぜなんだろう?と診察すると、なんと瞳孔が開いています。


Dr「Nさん、手術の前につけるように言われたミドリンPというお薬をつけていませんか?それは手術前だけなので捨ててもらった方がいいですよ」


N「えーっと、3種類つけるように言われてるんですけど、ミドリンPっていうのはつけてたかしら…?」



ミドリンPというお薬は、白内障手術をする前に、瞳孔を開くために使うお薬です。日帰り白内障手術を行う施設では、院内の滞在時間を短縮するためにあらかじめ処方しておいて、家を出る前につけてきてもらうところがほとんどだと思います。なので、Nさんは、間違えてそれをつけてしまっているんじゃないかと推測したわけです。

瞳孔が開くとまぶしくて焦点が合いづらく、見にくくなります。だから視力がいまいちだったんですね。

点眼を確認しようと思ったのですが、今日は持ち合わせていないとのこと。翌日全部持ってきてもらうことにしました。



翌朝Nさんがお持ちになった点眼の中に、ミドリンPはありませんでした(Nさん疑ってごめんなさい💦)

また、今度は瞳孔は開いていませんでした。

昨日は両眼ガンガンに瞳孔が開いていたのは間違いありません。Nさんにお薬手帳を見せてもらうことにしました。


N「たくさん飲んでるのよ、朝7錠で夜6錠でしょう」と見せてくれたお薬手帳にはベシケア(コハク酸ソリフェナシン)という薬がありました。ベシケアは頻尿や過活動性膀胱の治療薬です。抗コリン作用がある薬ですので、おそらくこの薬の副作用で瞳孔が開いていたんですね。


Nさんは、まぶしさの訴えはなかったので、あとは頻尿の具合と相談だと思いますが、処方している内科の先生にお手紙を書くこととしました。



抗コリン作用といえば、最近原発性腋下多汗症の治療で処方されるエクロックゲルでも、散瞳をきたしていた方がいました。「最近なんか見づらい、ぼやける」という訴えでしたが、よくよく聞いたら最近エクロックを処方されて使用しているということでした。



瞳孔が開くとまぶしいだけでなく、閉塞隅角緑内障の方は発作を起こす可能性があります。

特に高齢の女性で昔から目が良かった方、老眼に早くなった方は、閉塞隅角緑内障を知らないうちに起こしやすくなっている可能性があり、知らずに内服して発作を起こす可能性があるので年に1回は眼科で検診を受けることをお勧めします。






閉塞隅角緑内障の前眼部OCT写真


左側の白い部分は角膜です。もこもこしている虹彩の裏の黒い部分は水晶体です。水晶体は老化と伴に分厚くなってくることがあり、虹彩を押し上げて隅角を狭めてしまいます。






また当院では泌尿器科診療も行っております。泌尿器科の受付時間は火曜日の午前10時から午後1時半、金曜日の午後3時から6時半です。お困りの方はお気軽にご相談ください。




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