早いもので今年ももう3ヶ月終わってしまいましたね!
さて、3月中はやたらとちびっこのものもらいの手術が多かったのです。やっぱり春休み中に治したいっていう気持ちが皆さんあるんでしょうね。あんなに毎日小さいお子さんのすごいものもらいを切っていたのですが、先週はぱったりと来なくなりました。それで、なるほど春休みだったから集中して来ていたんだ、と気がついたわけです。
鎮静薬を使用した霰粒腫切開症例のご紹介
今回紹介する症例は関東圏外からお越しになった5歳の男の子です。2ヶ月前からしこりを触知していて、近くの病院では全身麻酔でないと切開は難しいと言われたとのことでした。当院をインターネットで探していらっしゃったそうです。暫くこちらに滞在しているとのことで、テープ麻酔を貼ってきてもらうことにして、後日の手術を予約して帰られました。
麻酔はテープ麻酔を貼ってきてもらいましたが、表面は少し破けて小さくなっていました。
しかしお母様いわく、本人はやる気になっているとのこと。怖さを感じないように鎮静してやることにしました。
眠くなる薬の入ったジュースを飲んでもらい、寝たところで手術をしようと思ったのですが、全然寝ることはなく、結局タオルで巻いて動かないように抑えて切開しました。肉芽組織は指で押し出されて、出血がダラダラと出ましたが、切開自体のお時間は1分以内でした。
1週間後、再診に来てくれました。特に診察を嫌がることもなく落ち着いていました。鎮静薬の効果が多少あったのかもしれませんし、お子さん自身が治ったのでやってよかったと思っているのかもしれません。お母さんいわく、「本人も治って喜んでいる」とのことでした。お母様は、私もネット検索で調べてここに来たので写真を使って下さって大丈夫です、と写真の使用を快諾してくださいました。お写真のご協力ありがとうございました!
一つの選択肢としての無麻酔霰粒腫摘出手術
この春休み小さい子供さんの霰粒腫摘出を数人行いました。2~3歳のお子様は自分の意志というよりは親御さんの意向ですが、本人も切らなくてはいけないと思っている様子はありました。
4~5歳以上のお子さんは、親御さんの説得もあるのでしょうが、自分で手術を受ける意志を固めて来ている方がほとんどです。そのようなお子さんは、1週間後の再診時に、自ら望んで手術をうけた結果治った、手術を頑張れたという自信をつけて成長した印象を持ちました。小さなお子さんでも腹をくくって頑張れる子もいるわけです。
なので、子供だから手術を諦めて放置する(良性疾患であるため肉芽腫はいつかは吸収されます)、保存療法のみ行う、または全身麻酔を勧める、という考えもあると思いますし、もう一つの選択肢として、無麻酔での短時間での切開という選択肢があってもいいと思います。全身麻酔は入院が必要だったり、親御さんの労力もかかります。霰粒腫のための全身麻酔に協力的な病院はそう多くないかもしれません。保存療法は吸収までに、数ヶ月~年単位かかることもあります。時に瘢痕化する可能性もあります。
この方法は野田みか先生から教わった方法です。野田みか先生は教育のために医師を対象に動画配信をして下さっているのですが、十分完成された手技が、毎回さらに洗練されていき、常に研鑽を続けてらっしゃるところをとても尊敬しています。私も毎日の手術1件1件から学びがあると思っているのですが、もっともっと手技を極めて多くの人のお役に立てればと思います。
元町マリン眼科では、一緒に働いてくれるスタッフを募集しています。当院では、クオリティの高い技術と心のこもったケアを提供し、患者様の目の健康とアンチエイジングをサポートしています。情熱を持って仕事に取り組み、チームワークを大切にする方のご応募をお待ちしています!
募集職種
①看護師
②医療事務
③看護助手
応募資格
各職種に応じた専門知識や経験をお持ちの方(クリニック勤務経験があれば優遇)
チームでの協力やコミュニケーションが得意な方
患者様に対する真摯な対応ができる方
応募方法
条件等詳しい内容は採用ページを御覧ください。
ご興味のある方は、履歴書と職務経歴書を添えて、以下の連絡先までお送りください。
電話番号:045-319-4271
皆様からのご応募を心よりお待ちしております!
当院での子どもの霰粒腫摘出術について
当院では、小さいお子さんの霰粒腫も全身麻酔無しで切開しています。皮膚麻酔はテープを1時間前に貼ってきて来てもらいますが、テープ麻酔をしても表面だけの麻酔なので、切開は痛みを伴います。注射麻酔はできそうな年齢のお子さんには行いますが、麻酔が効くまでには時間がかかるため、手術時間が長引くのもお子さんにとってはストレスです。さらに、炎症を起こしている組織には局所麻酔はあまり効きません。最終的には怖くてみんな泣きます。
苦痛をなるべく短時間で済むように色々工夫をして行っています。切るほどの霰粒腫は炎症を伴っているので切れば出血は必ず起こります。縫合するお時間はありませんので、ガーゼでしばらく圧迫してもらいます。帰宅後にガーゼは外してもらい、止血していればあとは軟膏を塗って過ごしていただきます。
また、手術後は出血や腫れは必発です。霰粒腫はころっと出るようなものではなく、切れば明日治るものではありません。赤くなって薄くなった皮膚はすぐには元の色には戻りませんが、いつかは必ずきれいになります。
霰粒腫手術の費用やリスクについて
手術の費用:3割負担で1眼瞼につき2400円程度、初診料と合わせて3千円程度かかります。
手術時間は5~10分程度で、局所麻酔下に行います。
ダウンタイム:1~2日はまぶたが腫れます。必要な方のみ1週間後に抜糸を行います。
内出血は1~2週間程度で徐々に軽快します。
リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)