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暗いところで見にくい病気

院長の蓮見です。

毎日パラリンピックのニュースで、いろいろな障がいを持ったアスリートの方の活躍が報道されていますね。こんなに視覚障がいの方がいろいろなスポーツに挑戦されているのを知りませんでした。




日本ではおよそ330万人の何らかの障害を持った方がおり、そのうちの31万人くらいが視覚障害だそうです。

しかし、障害手帳を申請していない視覚障害者もいると思われますので、実際はもっと多いのかもしれません。


視覚障害となりうる病気は、生まれつきの眼の形成異常や腫瘍などから、糖尿病や緑内障など様々な病気がありますが、今回は遺伝性疾患で、中途視力障がいの原因となりうる網膜色素変性についてのお話です。



網膜色素変性はその名の通り、網膜が変性していく病気です。

網膜には視細胞がありますが、その視細胞が変性して光を感じなくなってしまうので、進行とともに視界が狭くなり、視力が低下します。

初期に自覚症状として表れやすいのは暗いところで見にくいという症状です。これを夜盲といいます。進行すると周辺の視野が欠けて、ものにぶつかる、横からくる人に気が付かない、といった症状が起こります。



診断は眼底検査で特徴的な所見があり、視野検査で視野の欠損がある場合、網膜電図(ERG)という検査を行います。

ERG検査で波形が消失していれば網膜色素変性と診断されます。また、他に網膜変性を起こす原因(ぶどう膜炎、外傷、血管障害、風疹や梅毒などの感染症、悪性腫瘍など)の鑑別も必要です。



症状は緩徐な進行性で、数十年かけて視野狭窄が進行します。失明に近い状態になる方もいますが、晩年まで中心の視野が残存する方もいます。

現在のところ、残念ながら有効な治療はなく、白内障や黄斑浮腫などの合併症があればその治療を行います。白内障は後嚢下白内障を起こすことが多く、閉塞隅角緑内障の合併率もやや高いです。



じつは、網膜色素変性と診断される疾患グループは単一の疾患ではなく、同じような症状を呈する様々な疾患が含まれています。このため、症状や程度などの個人差が大きいのです。家族性に発症するタイプもあるのですが、孤発例も存在します。遺伝形式は常染色体優性、劣性、X染色体連鎖性などいろいろです。

我が国の報告では有病率は3400~8000人に1人だそうです。



強い光が症状を進行させるという考えがあり、遮光メガネの装用は勧められています。遮光メガネの購入は障害手帳があれば補助を受けられることもあります。

症状が進行してくると、眩しいと感じる症状が強く出ることがあるので、遮光メガネは眩しさの軽減にも役立ちます。



今回は比較的まれな病気の解説でした。ブログを読んでいただきありがとうございました。


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#元町マリン眼科





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