今回のモニター様は、10年前くらいから目元にできたシミがだんだん濃くなってきたので取りたいという方です。*患者様の了承を得てお写真を掲載しております。ご協力ありがとうございました!
お若い頃は屋外のスポーツをやられていた方で、おそらく日焼け止めなどの紫外線対策は特にしていないと思われます。
上の写真が最初の状態、Qスイッチヤグレーザーを照射し、2週間テープを貼って過ごしていただきました。
2週間後、かさぶたとともにシミは剥がれ落ち、赤みが少しありますが、ご本人は満足しているとおっしゃっていただけました。
しかし、根っこには少しまだメラニン色素が残っており、おそらく再照射が必要そうです。今は薄ら赤いので赤みが引く3か月後に来院いただいて、必要に応じて再照射を検討したいと思います。
このように濃いシミは1度のレーザー照射では取れず、複数回の治療が必要です。また、深いところにあるシミやあざも複数回の治療が必要です。
直後のお写真です。灰白色変化を来しており、反応しています。濃いシミは少ないエネルギーで反応はいいのですが、強く反応してしまうので、炎症後紅斑をきたし、色素沈着をきたすリスクが高くなります。炎症後色素沈着は3か月から半年で薄くなっていきますが、人によってはかなり濃い色素沈着になってしまい、薄いシミを取ったのに、かえって濃くなってしまったと言われてしまうこともあります。それがいわゆるシミの戻り、です。
そのため、たくさんシミがある方は、一部を照射して、反応を観察して、安全そうなら全体を照射する2段階照射がお勧めです。手間とお時間がかかってしまいますが、ダウンタイムで半年間嫌な思いをするよりはよっぽど良いと思います。シミがたくさんある(=色素沈着をきたしやすい体質と生活習慣)という不利な条件があるのでなおさらです。
また治療後のケアも大切です。赤みがある間は紫外線を避け、日焼け止めをしっかり塗って、赤くなるようなことは避けます。このようにシミ取りはレーザーは一瞬ですが、その後のケアが大変なので、ノーダウンタイムのIPL照射を繰り返す方が楽、という方もたくさんおられます。
ご自身のライフスタイルとご予算に合わせて、治療法を相談していきましょう。
元町マリン眼科・美容皮膚科はシミ取り、しわ・たるみ治療などの美容皮膚科診療を行っております。今月は3周年記念でペア割・紹介割があります。この機会にぜひご利用ください。
レーザーによるシミ治療のメカニズムと注意点
当院でシミ取りに使用している機器はルートロニック社のスペクトラというQスイッチヤグレーザーです。
スペクトラはナノ秒単位の短いパルス幅で、メラニンに吸収性の高い波長のレーザーを照射して、熱凝固を起こします。メラニンを多く含むシミの部分はかさぶたとなって、剥がれ落ち、下には新しい皮膚が出来て治癒します。分厚いシミやいぼは1回ではとりきれないことがあります。
照射は数分で終わりますが、痛みがありますので、痛みに弱い方は、麻酔テープを貼付してきていただくか、麻酔クリームを塗るオプションもご用意しています。
照射後はテープによる被覆が2週間必要です。その後も日焼け止めなどで紫外線を避けるようにしてください。
また、一度シミが取れた部分が赤黒くなる炎症性色素沈着が6割程度の確率で起こります。炎症性色素沈着は1か月後がピークで、その後時間の経過とともに薄くなり半年くらいで他の肌色と馴染んできます。その間はハイドロキノンなどの美白剤を使用する事があります。
費用
シミ・ほくろ・あざ長径1ミリにつき1,100円/回照射。再照射は費用が発生します。
麻酔別途オプションになります。
リスク
痛み、内出血、腫脹、色素沈着、色素脱失など
当製品は、本邦では未承認医療機器です。
諸外国における安全性等に係る情報の明示:肝斑治療で米国FDAの承認を得ている機械です。
ルートロニック社より、医師が個人輸入しております。
国内の承認医薬品等の有無の明示:同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)