本日も比較的珍しい病気の解説です。今回は、目の前の部分に炎症を起こすぶどう膜炎の一つ、急性前部ぶどう膜炎という病気について解説していきます。
急性前部ぶどう膜炎の症状
それはある日突然発症する病気です。光が眩しく、視野が霞んで見づらくなります。充血が強く、眼を動かしたりすると痛みが結構あります。目ヤニはそんなに多くありません。両眼いっぺんになることはまれで、通常は片目だけに起こります。年齢は比較的若い方に起こる傾向があります。
急性前部ぶどう膜炎の検査方法
顕微鏡による検査では、結膜の下の強膜という部分に充血がおこり、通常の太い血管の充血ではなく、その下の細かい血管が拡張してピンク色の充血になります(毛様充血)。
また、角膜とレンズの間の前房という水が入っている部分に炎症性の析出物(フィブリン)や膿(蓄膿)がみられます。これは虹彩が強い炎症を起こすからです。
ひどい時は、瞳孔がレンズに癒着する、虹彩後癒着という現象をおこして、瞳孔が固まってしまって開かなくなります。
激しい前眼部所見の割には、眼球の後ろの網膜にはあまり所見がありません。そのため炎症が収まれば、元の視力に回復することがほとんどです。
レンズの前面に虹彩が癒着して、白い析出物がくっついています。
急性前部ぶどう膜炎の治療方法
瞳孔が開かなくなると困ったことになりますので、癒着を剥がすために瞳孔を開く点眼を使います。
炎症を抑えるためにベタメタゾンという強いステロイドを頻回に点眼します。それでも消炎しない場合は水溶性ステロイドを結膜下注射で投与します。
注射でもびくともしないようなひどい炎症の場合はステロイドを内服することもあります。
通常は数週間で消炎し、視力は元の視力に回復しますが、炎症やステロイドで白内障が進行すると、視力は低下します。進行した白内障は、手術をすれば元の視力に回復します。
急性前部ぶどう膜炎と全身疾患の関係
このような発作を繰り返す方の中には、白血球のタイプが発症に関係していることがあります。HLAB-27関連ぶどう膜炎といいます。強直性脊椎炎という背骨の病気や、炎症性腸疾患(クローン病など)を合併することがあります。
また、糖尿病でも急性前部ぶどう膜炎と同じような前眼部の炎症を起こすことがあり、鑑別が必要です。
今日は比較的珍しい病気の解説でした。
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この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)