先週は術後4ヶ月の方が多く受診されて、めでたく皆様卒業となりました。その中のお一人で、目が小さい方の眼瞼下垂手術を考える時に、横幅も考えたほうがいいかも、ということに気付かされた症例をご紹介します。*御本人の了承を得てお写真を掲載させていただいております。ご協力ありがとうございました!
長年のハードコンタクトレンズ使用歴があり、最近多焦点レンズの白内障手術を受けたという方です。今は裸眼で生活できるようになって快適になったけれど、上方の視界が狭く、持ち上げたらよく見えた、ということで多焦点レンズを行った病院からのご紹介でいらっしゃった方です。
ハードコンタクトレンズの眼瞼下垂はまぶたを持ち上げる筋肉が瞼から外れてしまう腱膜性眼瞼下垂で、代償性に眉毛が上がっています。しかし、瞼の皮膚も伸びてしまっているので、おでこにうんとシワを寄せても瞼が上がりません。
眉下切開も必要かもしれないとお話しつつ、最初は定石通り挙筋腱膜前転を行うことにしました。
手術中にお話をしながら、「昔から目が小さいのよ~」とおっしゃっていて、たしかに横幅が狭く、特に目尻側の白目が殆ど見えない事に気が付きました。
その場で目尻切開も追加したほうがいいかもしれないと思ったのですが、予定外の手術を行うわけには行きません。開きが悪ければ今度目尻切開も追加しましょうとお話してその場は挙筋前転を終了しました。
続いてスリットランプ所見です。目頭側に比べて目尻側の白目の露出が少ないですが、全体的には黒目がちで可愛いといえば可愛いですよね。
術後経過はすこぶる順調で、最初左の目頭の腫れは長引きましたが、ほぼ改善し、御本人は上の方が見やすくなったと喜んでいらっしゃいました。
世界が明るくなって、お化粧もしなくても良くなって、日々の負担が軽くなったそうです。周りの方にも好評で、困っているお知り合いにも勧めてくださっているということで写真の使用も快諾してくださいました!
今のままで充分見やすいと、目尻切開はご希望されませんでした。確かに困ってなければ手術なんてしないに越したことありませんよね。
目が大きい、小さいというのは開き具合ももちろんですが、横幅というのも実は大きなウエイトを占めているかもしれません。というのも今までは瞼が下がっていることに注意が行き過ぎていて、あまりそこを気にしていませんでした。最近、目頭側の余剰皮膚が多い方には積極的に目頭切開をするようにしているのですが、目頭を切開すると皮膚の突っ張りが取れて瞼の動きが良くなるという方を何人も経験しました。
同じことが目尻側にも言えるのかもしれないと思うのですが、不思議とこういう目幅の狭い方は挙筋で2ミリ程度挙がるだけでとっても見やすくなったと喜んでいただけるのです。腱膜性が本質なので、挙筋機能が回復して瞼が動くようになるから当たり前なのですが、治療者側としては目がそんなに大きくならないので治ってるのか少々不安になってしまいます。ですが眼瞼下垂手術の目的は本人が見やすく、視界が広がることです。目が大きい、小さいという外見的な事に拘っているのは、実は私自身だったのかもしれませんね。
目尻切開の適応の方はまだ現れていませんが、今度目尻側の白目の露出が少ない方がいらっしゃったら勧めてみようと思います。
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元町マリン眼科では、眼瞼下垂の日帰り手術を行っています。 眼瞼下垂手術は下垂による症状があり、診断基準を満たせば保険適応での手術が可能です。
瞼が下がって視界が狭い。
上の方や横の方が見にくい。
テレビや本を見ていると瞼がつぶれてくるので手で持ち上げている。
おでこや頭に力が入って頭痛や肩こりが取れない。
睫毛が被さって見にくい、あるいは睫毛が良く入る。
などが代表的な症状です。 眼瞼下垂でお困りの方は、元町マリン眼科へご相談ください。 眼瞼下垂手術について 手術の費用:3割負担で両眼で50000円前後、1割、2割負担の方は自己負担上限金額です。 また、眼瞼下垂を伴う全身疾患が疑われる場合は初診時に採血を行います。初診料と合わせて6~7千円程度かかります。 手術時間は両眼で1時間程度で、局所麻酔下に行います。 ダウンタイム:2~3日はかなりまぶたが腫れます。1週間後に抜糸を行います。内出血は2週間程度で徐々に軽快します。1ヶ月位は朝むくんだり、まぶたが赤いなどの症状が見られることがあります。傷の赤みは半年くらいで徐々に改善していきます。 リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)