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眼底出血の原因

更新日:2021年9月16日


院長の蓮見です。


皆さんの中には定期健康診断で眼底検査を受けられている方もいると思います。

眼底検査の項目に要再検査のコメントがあったら皆さんどうしますか?


今日は眼底出血のお話です。


その患者様は、50代に近い方の60代。なんと3年前から検診のコメントで、眼底出血ありだったもののお仕事が忙しかったのか受診せず。。。

今年の検査でとうとう眼底出血に加え、白斑が出現して受診された方です。



眼底というのは網膜のことです。網膜に出血を起こす病気は糖尿病、高血圧、動脈硬化による網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、ぶどう膜炎、貧血、白血病などの悪性腫瘍…などがあります。どれも恐ろしい病気ですね。それを知っていればもっと早く受診したかもしれませんね。


散瞳薬を使って眼底検査を行うと、左の黄斑部の近くに出血と白斑を認めました。



ちょっとわかりにくいのでマーキングしました。



矢印のところが黄斑部という網膜の中心で、視力に大きく関わる部分です。ここに点状の出血と白斑があります。

星の部分には点状出血があります。また丸の中の血管はうねうねと蛇行しています。


この写真の病気の特徴は、視神経乳頭を上下に分ける水平の線で病変のある部分と病変のない部分がはっきり分かれることです。

これは網膜静脈閉塞症という病気です。おそらく丸の中の血管の集まるあたりで閉塞が起こり、詰まった末梢の血管は破裂して網膜出血となったのです。



この方の視力は矯正で1.0でした。なのでそれほど不自由を感じていなかったのでしょう。また日常生活の中では片目ずつで見ることはほぼないので、両眼で見ている限りは左眼が見にくい事にあまり気が付かないのです。



網膜静脈閉塞症の治療


閉塞した部位が広範囲で、虚血が強ければ閉塞部位にレーザーで網膜光凝固を行います。

また、出血が起こった部位は、出血を吸収するために炎症がおこり、網膜のむくみ(黄斑浮腫)がおこることがあります。むくみがあると視力は低下し、放置で網膜が痛むのでむくみをとる治療をします。


むくみを取るには点眼、内服、注射などがあります。

注射はステロイド注射をテノン嚢下というところに注射を打つのが一般的ですが、ステロイドの副作用で白内障が進行したり、眼圧が上昇するリスクがあるため、最近は抗VRGF薬の硝子体注射が選択されることもあります。しかし注射代が高額なのと、1か月くらいで効果が切れてしまうので、すぐにむくみが再発し複数回の投与が必要になることがあります。。



この方は軽度のむくみがありましたが、視力が良好だったため内服と点眼で経過を見ることにしました。むくみが悪化すれば注射を導入しようと考えています。

元町マリン眼科では網膜静脈閉塞症や黄斑浮腫に対するレーザー治療や硝子体注射も行っています。



健康診断で要再検査となったら是非眼科を受診してください。思わぬ病気が見つかることもありますが、なんでも早めに見つかる方が、結果として治療効果も視力予後も良くなります。


今日もブログをご覧いただきありがとうございました!





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