院長の蓮見です。
今回は眼瞼下垂症の手術を検討している方へ、当院で行っている手術の流れをご説明したいと思います。
(眼瞼下垂症の症状の説明はこちら)
①カウンセリング
まず眼瞼下垂症かもしれない、と思ったらカウンセリングのためにご受診下さい。(2024年1月より眼瞼下垂のご相談は予約不要です。院長診察のお時間帯にお越し下さい。)
瞼の開き具合、頭位や顎の姿勢、お困りの症状、他に目の病気がないかどうか、を診察します。
保険適応の手術の対象かどうかを判断いたします。(保険の適応とならない場合は美容の手術となります)
手術適応ありと診断されたら、それぞれの術式でどのような結果が予想されるか、お顔を鏡で見てもらいながらシミュレーションを行います。なるべくご希望に沿った形で術式は決定しますが、保険診療の場合は術式を指定したり、二重の幅が何ミリと言った細かい注文に応じることはできません。
手術を希望された場合、他に体の病気がないか、眼瞼下垂を起こす全身疾患がないかを調べるために採血を行い、手術の同意書をお渡しします。
②採血結果の確認と手術日の確定
1~2週間で採血結果が出ますので、結果をお伝えします。結果に異常があれば、まず内科の治療を優先します。
また、かかりつけの内科があり治療中の場合は、全身状態を尋ねるため問い合わせの手紙をお持ちいただくことがあります。
例えば、脳梗塞や狭心症などでバイアスピリン、ワーファリンに代表される血液サラサラの薬を飲んでいる場合は、可能な限り休薬していただいております。
休薬が困難な方はなるべく出血が少ない方法で検討します。
手術日が決まったら、当日まで体調を万全にしておきましょう。
③手術当日
手術当日は、上記の血液サラサラの薬以外の、血圧の薬や血糖の薬は通常通り飲んできて頂きます。
また、食事も普通にとってきていただきますが、手術直前に食事をとってしまうと、緊張のあまり、気分が悪くなる方がいらっしゃいます。そのため少なくとも手術の2時間前には食事を済ませて来てください。(小腹が空いたので飴をなめる等は大丈夫です)
来院時間は手術開始時間の30分前です。来院したらまず血圧を測りましょう。手術は1時間くらいかかりますので、お手洗いはなるべく手術前に済ませます。
術前診察で術式を確認した後、看護師が前室に案内し、血圧や血糖を測ります。緊張してしまう方にはリラックスする内服薬を飲んでいただきます。出血で髪の毛が汚れることがありますのでビニールの帽子をかぶります。
手術は局所麻酔で行います。点滴は通常行いませんが、糖尿病などの基礎疾患がある方は、感染予防のための抗生剤の点滴を行います。
④手術の実際
いよいよ手術開始です。デザインを確認後、歯医者さんの麻酔と同じように局所麻酔をします。針を刺す時にチクッと痛みを感じますが、麻酔が効けば術中の痛みはほとんど感じません。麻酔の針の痛みも怖いという方にはペンレステープという針の痛みを和らげるテープをご用意しています。(手術の1時間前に手術部位に貼って来院して下さい)
麻酔が効いてきたら、消毒し、清潔な布で目周り以外の顔や頭は覆います。
手術中、仮縫いの段階で椅子を起こして鏡でお顔を確認して頂きます。もうちょっと上げたい、上げ過ぎている、などご自身の希望を伺います。
手術が終わったら、最後に仕上がりを鏡で確認します。実は直後より、翌日の方が腫れていると言う事もあり、この時点での顔を覚えて頂いて、翌日以降の心配を減らすようにしています。
出血を抑えるために、伸縮性のテープで創部を圧迫してガーゼを貼ります。そのため、瞼の上は大きな絆創膏で覆われますので、お帰りの際には帽子👒やサングラス🕶を着用すると良いでしょう。体に不自由のない大人の方であれば、一人で帰ることは可能です。
⑤術後の注意と診察
帰宅後はなるべく頭を高く、保冷剤などでよく冷やすことをお勧めしています。
また、当日は早く横にならずに、頭を高くした状態を保っておくと、腫れにくいです。
腫れが少ないほど傷の回復は早くなります。
術後も毛細血管からの出血が72時間は起こり得るため、翌日は結構腫れます。このため術後2~3日はなるべく安静にしておく方が腫れが少なくて済みます。
また、この期間は、飲酒、運動、湯船につかることは血流が増え、腫れが悪化するため控えて頂いています。(シャワー浴は大丈夫です)
翌日は傷口の確認のため来院が必要です。ガーゼは病院に来てから外します。傷の状態が良ければ、絆創膏は必要なく、軟膏を一日に5~6回塗って絆創膏の代わりにします。
これはWet dressingと言って、傷は湿潤状態の方が治りが良いためです。
ご自分が大丈夫と思ったら物を見るのも家事やお仕事も特に制限はありません。
また、洗顔は意外かもしれませんが、翌日からOKです。ただ、水洗いのみで石鹸は使えないため、眼の周りのお化粧は抜糸後からにしましょう。
抜糸は傷の状態にもよりますが、通常1週間後に抜糸しています。使用する糸は髪の毛位の細さなので、腫れが引けば見た目にもそこまで目立ちません。
抜糸後の傷の赤みはしばらく続きます。また腫れやすい体質や肌質の人は朝むくみやすくなったりすることがしばらく続きます。長い人で3ヶ月~半年くらいで落ち着きます。
腫れが長引いている方には軟膏をかえるなどして対応します。術後の定期検診は1か月後、3か月後です。
以上が眼瞼下垂手術の流れとなります。
手術を考えている方、手術について話が聞きたい方はまずは受診してみてください。
術前と術後の比較、翌日の腫れや治癒経過がわかる症例のご紹介ブログを続々更新中!手術症例集は☞こちら
男性① 眉下切開
男性② 眉下切開
女性① 皮膚切除⁺重瞼形成
女性② 眉下切開
男性③ 挙筋短縮
男性④ 眉下切開
女性③ 埋没法
女性④ 埋没法+目頭切開(自費)
女性⑤ 切開法による重瞼形成(二重手術)
以降続々と更新中です!いいねを押していただけると嬉しいので頑張って更新します。よろしくお願いします!
この記事の執筆者
元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)