先日同じようなタイトルのブログを書いた気がしますが、今回は、またまた40代50代の方必見!
40代後半から罹患率100%の老眼が目薬で治るという画期的な話題です。
そもそも老眼とは何なのか!?
それは水晶体の老化現象です。水晶体は目の中の瞳孔の後ろにある透明なレンズです。若い時は透明で柔らかく伸びたり縮んだりしてピントを調節していますが、40代になるとタンパク質が変性して硬くなり伸び縮みしにくくなります。そのためピント調節に時間がかかるようになります。
若い時はスマホを見ていたとしても遠くのものもパッとすぐに見えたでしょう。しかし硬くなった水晶体はじーっとしばらく見ていないと遠くの文字は見えてきません。遂にはピントが合わなくなってしまうのです。
「よく私は老眼全然きてないのよね、目は若いみたいで」という50代くらいの方もいらっしゃいますが、そういう方は軽い近視や乱視があり、近くが困ってないだけでピント調節機能は等しく衰えています。しかし、白内障の手術をする年齢もバラバラですので、老化のスピードには多少の個人差はあるのですが、50代で白髪が一本もない人はいないでしょう。
本題の老眼を直す目薬ですが、発端は患者さんの「最近老眼を治す目薬が承認されたって本当ですか?息子がアメリカでは既に承認されてて、日本ももうすぐって聞いたんですけど」という発言でした。
私はメーカーの方ならともかく、患者さんからそんな新薬の情報を聞いてびっくり( ゚Д゚)です!
早速調べたところ、アラガン社から発売された「VUITY」が、2021年10月に米国食品医薬品局(FDA)に承認されたということでした。成分はどうやら日本では既に点眼薬として使われている薬剤のようです。その適応拡大ということになるのでしょうね。
ピンホール効果というものがあるのですが、狭いところから見ると焦点深度が深まってピントが合って見えるという原理を利用して老眼を治そうということのようです。見にくい時、目を細めると見えるようになるという実体験は皆様も心当たりがあるのではないでしょうか。目の中には瞳孔がありますが、瞳孔を狭めることによってピンホール効果が得られます。瞳孔を開くための薬剤があれば閉じる薬剤もあります。瞳孔を閉じる目薬は緑内障の点眼薬として使われている薬剤です。歴史の長い緑内障薬ですが、その副作用から、緑内障点眼として用いられることは今はあまりありません。
瞳孔の働きは、カメラで言うところの絞りになるので、明るいところでは閉じ、暗いところでは開きます。瞳孔を閉じる薬を使うと、強制的に常に閉じることになりますので暗いところでは暗いと感じる副作用があります。また、充血やしみる感じなど刺激感が強くて実際処方すると患者さんによってはつけられない、という方もいます。
そのような副作用を軽減し、作用時間を長めるために、その緑内障点眼薬単体ではなく、他の薬と配合して使用される試みも行われていました。大別すると、ジクロフェナクやブロムフェナクなどのNSAIDsと配合しているものや、ブリモニジンというα2作動薬を配合しているものに分かれました。また、コリン作動薬も、ピロカルピンだけではなく、カルバコールという薬剤を用いているものもありました。
つけ方も非優位眼だけにつけて、遠くの見え方や明るさを軽減するなどの工夫も試みられていました。
この方法が有効なのは比較的若めでまだ少し調節力が残っている40代50代の方でしょうね。というのも、70代80代の方はそもそもすでにピンホール瞳孔になっている方も多いのです。年齢とともに瞳孔系は小さくなる傾向があり、特に男性で顕著なように思います。すでにピンホール瞳孔の方に縮瞳薬をつけても老眼改善効果はないばかりで、不要な副作用を起こすだけかもしれません。
私は老眼鏡に満足しているので、点眼で頑張ろうとは思わないのですが、絶対に老眼鏡をかけたくない人もいるでしょう。患者さんに勧められるようなものなのか、今度自分でも試してみようと思います。機会があったらどうだったのかいずれブログで報告します。本日もブログをご覧いただき誠にありがとうございます。