平成 14 年学校保健法が一部改正されて、色覚検査が必須項目から削除され全国の多くの小学校で色覚検査が行われなくなりました。
その結果、自分の色覚異常を知らないで、就職の時に希望の職種を選べないなどの不利益を受ける気の毒な事例がうまれてしまう結果となりました。
そのため、平成 26年、文部科学省から学校保健安全法が見直され、学校における色覚検査が適正に実施できるような体制を整えることが追記されたのです。
色覚異常は意外と多く、男児の20人に1人は程度の差はあれ、色覚の異常があると言われています。X染色体優性遺伝形式を取り、女性は保因者となります。女性の保因者の10人に1人は検査で引っかかることもあります。
どんなお子さんに色覚異常を疑うのでしょうか。
・身内に色覚異常がいる
・色の名前が覚えにくい
・幼稚園のお絵かきで、アスファルトやぞうをピンクに塗る、顔を黄緑に塗るなど
学校検診で行われる色覚検査は石原色覚検査表の簡易版です。(パステル調の点描画の中に数字が書いてある本です)
眼科ではもっとページ数の多い38表というのを用いて検査をします。異常が疑われる場合は、パネルD-15という色並べのような検査や、複数の色覚検査表を行って詳しく検査をします。
程度が軽いお子さんだと、感を働かせて読めてしまう子もいますし、見比べてパスしてしまう子もいます。また、正常色覚の子でも、数字がわかりにくかったりして間違う子もいます。そんな時は眼科でも診断が難しいこともあります。また、弱度と中等度を見分けることは、上のような検査では不可能です。
色覚異常は先天的なものであり、治療がないので保護者も本人もショックを受けますが、視力低下することはありませんし、ちょっとした工夫で日常生活はほぼ支障なく過ごせます。しかし、職業によっては正常色覚を求められる職種もあります。
いざ進路を決める段階で、本人がショックを受けてしまうことがないよう、ある程度早い段階で正確な診断をして欲しいと思うのは当然だと思います。
色覚検査が行える年齢は、個人差が大きいのですが、数字が読めればできる子もいます。もしお子さんの見え方に不安があれば、いつでもご相談ください。
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