酒さ先日マルホさんがいらっしゃって、ロゼックスゲルが酒さに対して適応承認されたと紹介してくれました。
酒さとは赤ら顔とも呼ばれ、鼻や頬、また顔全体が赤くなったりぶつぶつが出来たりする病気です。30代から50歳代に発症しやすく、白人~色の白い方に多いが、有色人種もみられその場合は診断しにくいそうです。病気という認識がない方も結構いるかもしれません。火照り感があったりヒリヒリする症状が続き、悩んでいる方も多いと思います。
ロゼックスゲルが酒さに効果があることは以前から知られていたのですが、酒さに対しては保険適応がありませんでした。そのため自費処方されているケースもあったかと思います。この冊子の中に酒さのタイプの解説が書いてあったのですが、
紅斑毛細血管拡張型:顔が赤くなり毛細血管がひろがっている
丘疹膿疱型:赤い盛り上がりや膿の溜まったぶつぶつがみられる
鼻瘤方:鼻の皮膚が厚くなり、こぶのようなものが出来る
眼型:眼の充血や異物感、痒み、乾燥、まぶしさを感じる
の4タイプがあるそうです。上の4つのタイプはしばしば混在しているようです。不勉強なのかもしれませんが、私はこの眼型酒さという病気があるのをこの冊子で初めて知りました。
充血や異物感、乾燥、まぶしさを訴える方は大体ドライアイの方の訴えと同じです。なので、今までそう診断してきた人の中にはもしかしたら眼型酒さの人がいたのかもしれません。しかし両者の鑑別は結構難しいように思います。眼の所見に乏しいが自覚症状の強いドライアイの方はたくさんいらっしゃいます。また、ドライアイには診断基準というのがあるようでない病気です。根治的な治療はなく対症療法なので、自覚症状がなければ投薬は必ずしも必要ではなく、また訴えが強ければ所見が無くても薬を処方することは多々あるのです。
一方、眼型酒さの方はどうでしょうか。顔面の酒さを合併しているなど特異的な所見があれば診断つけやすいですが、眼型酒さのみであれば診断は難しいです。しかしこれからは眼型酒さの可能性も考えながら診断をつけていきたいと思います。
酒さの治療
酒さは、体質的なものが大きい病気で、うまく付き合いながら根気よく治療をしていく必要があります。
悪化を避ける生活習慣を身につけ、スキンケアにも気を遣いつつ、症状をうまくコントロールしていくことも大切です。
治療には飲み薬、塗り薬、レーザー・光線療法があります。当院でもIPL光治療を行っています。詳しくは以前のブログをご覧ください(赤ら顔の治療経過)。
塗り薬は上記のロゼックスゲルと、アゼライン酸が同程度効果があるようです。アゼライン酸クリームは当院でもAZAクリアを扱っています。また、膿疱を伴うタイプには、ニキビの薬であるベピオゲルや抗生剤の外用などを併用します。
飲み薬は抗生剤の内服やイソトレチノイン内服をするようですが、本邦にはイソトレチノインの承認薬はありません。
盛り上がった鼻のいぼに対しては、外科的切除が有効です。当院でもいぼ切除を行っております。
今日は酒さに対する新しい承認薬、ロゼックスゲルのお話でした。気になった方はカウンセリングにお越しください。
*追記(10月22日)
患者様からロゼックスゲルの使用中は飲酒を控えるように、と書いてありますが、お酒を飲んではいけないのでしょうか?という問い合わせがありました。
念のためメーカーに確認したところ、同剤の内服投与期間中はアルコール代謝に影響する可能性があるため、飲酒はできないそうですが、ゲル剤の使用ではこれまで問題となったケースはないそうです。
ロゼックスゲルの成分はメトロニダゾールという抗生剤で、感染性腸炎や膣炎などに使用されます。
以下経口薬の添付文書の記載です。
腹部の疝痛、嘔吐、潮紅があらわれることがあるので、投与期間中は飲酒を避けること。
本剤はアルコールの代謝過程においてアルデヒド脱水素酵素を阻害し、血中アセトアルデヒド濃度を上昇させる。
酒さの場合は、少量を顔に塗る程度ですので、それほど影響が出るとは考えにくいですが、上記のような症状を認めたり、お酒に弱いと自認している方は控えた方が良いでしょう。しかし、リラックスも必要ですので適度に愉しむのは良いのではないでしょうか!