以前、シミの外用治療として、ハイドロキノンクリームをご紹介しました。
今回は、顔のシミで難治な肝斑について述べたいと思います。
肝斑とは?
思春期以降のアジア系人種の女性にみられる、両頬を中心とした褐色の色素性病変で、しばしば左右対称にみられます。自覚症状を伴わず、寛解増悪を繰り返しますが、顔面に出現するため、QOL(Quality of Life:生活の質)を低下させるものです。
妊娠や出産を契機に悪化することがあり、女性ホルモンの関与も示唆されていますが、紫外線の影響が大きいです。また、擦ったりすることで悪化すると言われています。
このような複合要因で悪化しているものなので、治療もこれをすれば良くなるという、決定的なものがあるわけではないのが、肝斑治療の難しいところです。
肝斑の治療
紫外線対策…紫外線はメラニン産生を亢進させるチロシナーゼを刺激します。また光老化を起こしますので、日焼け止めを塗ることは生涯を通じて行ったほうが良いです。
適切なスキンケア…肝斑は摩擦刺激などで悪化すると言われています。メイク落としなどはこすらずに、なじませて浮かせてすすぐなど、肌に負担をかけないものを使いましょう。
内服治療…抗プラスミン作用を持つトラネキサム酸の内服、ビタミンCの内服は、肝斑を改善させることが経験的にわかっています。内服セットは院内で購入できます(自費診療となります)
外用療法…ハイドロキノンや高濃度ビタミンC美容液などの外用でメラニン産生をブロックします。当院では前回ご紹介したハイドロキノンクリームのDRXダブルブライトHQEや、VCコンセントレート15、AZAクリアなどの美白作用のあるものを取り扱っています。
ケミカルピーリング…古い角質を除去し、肌再生を促して肌のターンオーバーを正常化させる働きがあります。当院ではマッサージピーリングやサリチル酸マグコロールピーリングの施術を行っております。
レーザートーニング…QスイッチNd:YAGレーザーの1064nmの波長は深達度が深く、メラニンとヘモグロビンの両方に吸収されるという特徴があります。穏やかな加熱で組織炎症を抑えながらメラニンを除去します。内服や外用のプレトリートメントを行って、それでも取れない難治性の肝斑はレーザートーニングを検討しても良いかもしれません。
シミと言ってもいろいろな色素病変が混在していることもあり、それぞれに対して治療が異なりますので、「年だから…」と諦めずにまずはご相談下さい!