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ものもらい
ものもらいについて
ものもらいとは
ものもらいは、目の縁にできるイボをさしていますが、目の縁にできるイボは麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)があります。
麦粒腫は目のフチにある油の穴や睫毛の毛穴に細菌が入って感染を起こしたもので、通常は痛みや赤みを伴います。抗菌剤の点眼で治りますが、膿を穿刺して出すことで治るまでの期間を短縮できることがあります。
一方霰粒腫は、目のフチの油を出しているマイボーム腺という管がつまり、マイボーム腺の分泌物である油が中に溜まってできる貯留のう胞です。ただ溜まっているだけならしこりを感じるだけで痛みはありませんが、そこに炎症が加わると赤くなり腫れて痛みを伴います。みなさんが眼科を受診したいのは痛みを伴うこの時期となります。
ものもらいの原因
麦粒腫は、霰粒腫ができる原因はまぶたの中の油が詰まることです。まぶたの中には瞼板という組織があり、マイボーム腺という油を作っている管が各瞼に30個くらいあります。その油は涙の油分となるもので、分泌が少ないとドライアイになります。詰まる原因は体質や、まぶたを不潔にしている、エクステを付けてあまり洗わない、等色々ありますが、油なので温めるとサラサラになって分泌されやすくなります。詰まりやすい方はホットアイマスクなどの使用をおすすめします。
目やには油汚れですが、まつ毛の縁の落ちにくいしつこい目やには、アイシャンプーというもので洗うとスッキリします。当院で販売しています。サンプルもお渡しできますので、興味のある方はお声がけ下さい。
その他、霰粒腫を予防するセルフケアは、ブログにまとめてありますので、参考にしてみてください。
ものもらいの治療法
麦粒腫は抗菌剤の点眼で1週間程度で治りますので、ここでは霰粒腫の治療について主に述べます。
しこりが小さい場合は、前述のように温めたりセルフケアをすることで油を出して小さくします。炎症を起こしている場合は、まず点眼や軟膏、内服薬などで炎症を沈静化させます。炎症が起こると、炎症が収まっても膿や細菌の死骸などがしこり(肉芽腫)となって残ります。大きなしこりが残る場合や、長いこと大きさが変わらないしこりがある場合は切開してしこりを摘出することを検討します。
また、切らない治療として、IPL照射も弱く推奨されています。IPL(Intensed pulsed light)とは当院でもシミや美肌の治療として人気の光治療器ですが、まぶたの近くに照射をすることで、瞼の中のマイボーム腺に作用して中の貯留物を温め、流出を促すとされています。当院では、アイリッドスパというIPLを用いた治療を行っておりますので、併せてご検討下さい。
霰粒腫の手術療法について
切開で摘出する場合、痛みを伴いますので、注射による局所麻酔をして行います。皮膚面から行う場合と瞼の裏側の結膜面から行う場合があります。皮膚の傷が大きい場合は縫合が必要な場合があり、後日抜糸が必要です。
しこりはコロッと出てくるわけではなく、周りは炎症を起こした組織です。ですから切開すれば翌日にすっかりなくなるわけではなく、中身を少なくして吸収を早める効果があります。また、切開を伴いますので、当然翌日は腫れや内出血があります。薄くなった赤い皮膚はすぐに肌色に戻るわけではなく、徐々に他の肌と馴染んでいきます。
当院での子どもの霰粒腫摘出術について
当院では、小さいお子さんの霰粒腫も切開しています。1歳以上の全年齢の摘出実績があります。
皮膚麻酔はテープを1時間前に貼ってきてもらいますが、テープ麻酔をしても表面だけの麻酔なので、切開は痛みを伴います。注射麻酔はできそうな年齢のお子さん(6歳以上~)には行いますが、麻酔が効くまでには時間がかかるため、手術時間が長引くのもお子さんにとってはストレスとなります。さらに、炎症を起こしている組織には局所麻酔はあまり効きません。最終的には怖くてみんな泣きます。以上のような理由から麻酔の注射が無理と判断した場合は毛布にくるんで押さえ、無麻酔で切開し出せるだけ出します。
苦痛をなるべく短時間で済むように色々工夫をして行っています。切るほどの霰粒腫は炎症を伴っているので切れば出血は必ず起こります。縫合する時間はありませんので、ガーゼでしばらく圧迫してもらいます。帰宅後にガーゼは外してもらい、止血していれば、次回の外来まで軟膏を塗って過ごしていただきます。
また、手術後は出血や腫れは必発です。霰粒腫はころっと出るようなものではなく、切れば明日治るものではありませんが、中身を減らして吸収を早め、治癒までの時間を短縮できます。赤くなって薄くなった皮膚はすぐには元の色には戻りませんが、いつかは必ずきれいになります。
霰粒腫手術の費用やリスクについて
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手術の費用:3割負担で1眼瞼につき2400円程度、初診料と合わせて3千円程度かかります。
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手術時間:5~10分程度で、局所麻酔下に行います。
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ダウンタイム:1~2日はまぶたが腫れます。必要な方のみ1週間後に抜糸を行います。
内出血は1~2週間程度で徐々に軽快します。 -
リスク:出血、痛み、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。